外壁・屋根塗装の下地処理の重要性
外壁・屋根塗装では、塗装を行う前に「下地処理」と呼ばれる作業を行います。「下地調整」や「素地調整」などと言われることもあり、塗装の出来映えや耐久性を大きく左右する重要なポイントです。
このページでは、下地処理の作業内容やお粉分かった場合の不具合などについて紹介します。下地処理は、塗装工事の中で最も重要な作業だと言う業者も少なくありませんので、お客様自身もその重要性について知っておきましょう。
下地処理の重要性
下地処理とは、塗装をする前に塗装面の汚れや古い塗膜などを除去したり、ひび割れやコーキングの劣化を補修して塗装ができる綺麗な状態に整えることです。
下地処理は塗装面に塗料をしっかりと密着させるために行われますが、十分に作業が行われていないと塗料がすぐに剥がれたり、ひび割れや膨れなどが発生する可能性があります。
また、塗料がきちんと密着していない状態では、建物を保護する機能や防水効果などの塗料本来の性能が発揮されず、結果として耐久性も低下してしまいます。
たとえ高価な塗料使っていても、その性能を発揮できなければ意味がありませんので、美観や耐久性を保つためにも下地処理をしっかり行うことが非常に大切です。
下地処理の作業内容
高圧洗浄
高圧洗浄機から噴出される高い水圧で塗装面の汚れ、コケ、チョーキング粉、古い塗膜などを洗い流す作業です。洗浄後は24時間~48時間程度かけて乾燥させます。
クラック補修
クラックとはひび割れのことを言い、クラック補修はひび割れを埋める作業になります。
補修方法はひび割れの大きさによって異なり、髪の毛の細さ程度のヘアークラックの場合は、ひび割れ部分にシーリング材を充填して補修します。ひび割れの幅が0.3ミリ以上の場合は、ひび割れの奥までシーリング材が入り込むように、専用の電動工具でひび割れを削ってからシーリング材を充填します。
シーリング材を充填した後は、凹凸が出来ないように平らにならしていきます。
コーキング補修
コーキングとは、サイディングやALCなどの目地に使われているゴム状の部分のことです。コーキングは劣化すると、ひび割れや痩せて細くなってしまう症状が現れるため補修が必要になります。
補修方法は、既存のコーキングの上から新しいコーキングを施工する「打ち増し」と、既存のコーキングを全て撤去してから新しいコーキングを施工する「打ち替え」の2通りあります。どちらの方法で補修するかは、劣化状態や業者の判断によって異なります。
ケレン
ケレンとは、ヤスリや電動工具を使って高圧洗浄で落としきれなかった汚れ、サビ、コケ、古い塗膜などを除去していく作業です。主に鉄部や木部に行われます。
作業内容は劣化状態によって異なり、劣化が激しい順から1種ケレン、2種ケレン、3種ケレン、4種ケレンの4通りに分けられます。一般住宅の場合は、3種ケレンを行うめケースが多いです。
また、汚れや古い塗膜などを除去するだけではなく、ツルツルした塗装面をわざと傷つけザラザラにして塗料の密着性を高める「目粗し」と呼ばれる作業もケレンに含まれます。
目止め
目止めとは、塗料の吸い込みが激しい塗装面に目止め剤を塗って、塗料が過剰に吸い込まれないようにする作業です。
劣化が激しい塗装面はスポンジのように塗料を吸い込むため、目止めを行わずに下塗り塗料を塗ると塗料が吸い込まれて塗膜に一定に厚みがでません。
下塗り塗料は中塗り・上塗り塗料と塗装面の密着性を高める効果があるので、下塗り塗料がしっかり機能していないと中塗り・上塗り塗料が早期に剥がれたり、塗膜の膨れなどが発生してしまいます。
下地処理を行わないと起こる症状
ひび割れ
クラック補修が不十分で、元々ひび割れがあった箇所と同じ箇所にひび割れが発生することがあります。ひび割れしている部分から雨水が侵入すると、雨漏りを引き起こす原因となるので注意が必要です。
塗膜の剥離
高圧洗浄やケレンが不十分で、汚れや古い塗膜などが完全に除去されておらず汚れた状態のまま塗装した場合、塗料がしっかりと密着性せずに塗膜の剥離が起こります。
塗膜の膨れ
高圧洗浄後の乾燥が不十分のまま塗装をすると、残った水分や空気によって塗膜が膨れてしまいます。また、発生したカビが何層にも重なることが原因で膨れる場合もあります。
まとめ
下地処理には様々な工程があり、塗装面の汚れや古い塗膜などを除去したり、劣化している部分を補修して塗装面を整える目的があります。塗装面の状態が悪いまま塗装をすると施工不良に繋がるので、下地処理は塗装工事の中でも非常に重要な作業と言えます。
実際に塗装を依頼するときや見積書を見ても詳しく分からない場合は、事前に下地処理ではどのような作業を行うのか確認しておくと安心です。