弾性塗料の特徴や効果と価格
外壁塗装で扱う塗料の中には、「弾性塗料」と呼ばれる塗料があります。弾性塗料は、ゴムのような柔軟性と伸縮性があり、ひび割れ対策としてモルタル外壁などで選ばれることの多い塗料です。
ただ、弾性塗料で塗装をしたとしても、施工方法正しく守らなければ、十分な効果が発揮されず施工不良やひび割れが起こる恐れがあり、施工方法によって弾性力の維持できる期間が異なり、外壁材によっても向き・不向きがあるので注意が必要です。
このぺージでは、弾性塗料の特徴や施工方法、弾性塗料に適した外壁などについて説明していきます。
弾性塗料とは
弾性塗料とは、塗料の中でもゴムのように高い伸縮性(弾力性)を持った塗料のことです。
他の塗料に比べて伸縮性に優れているため、下地にひび割れが生じたとしても、下地の動きや変形に追従します。
そのため、下地が経年劣化などによってひび割れたとしても、症状の表面化を防ぐことができます。
弾性塗料の硬さは2種類
弾性塗料は、塗料の硬さによって微弾性塗と高弾性塗料の2種類に分類されます。
微弾性塗 | 微弾性塗とは、一般的に気温20度の環境で伸び率が50~100%程度の塗料を指します。この基準は、あくまでも慣習的な定義で明確に定められているものではありません。 また、微弾性塗は2〜3年程度しか弾力が維持できないという点に注意する必要があります。 |
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高弾性塗料 | 高弾性塗料とは、気温20度の環境で伸び率が20度の環境で120%以上伸びる塗料のことで、この基準はJIS規格で明確に定められていています。 |
弾性塗料の工法
弾性塗料で外壁塗装を行う場合、施工方法は以下の3パターンがあります。ただし、塗料メーカーによっては塗り回数が異なる場合もあります。
複層弾性塗料工法
複層弾性塗料工法とは、下塗り1回、中塗り2回、上塗り2回の計5回塗りで仕上げる工法のことです。
塗り回数が多く塗膜に厚みを出すことで、塗装面のひび割れ防止や防水性の効果を高めることができます。そのため、弾力性は10年以上維持できると言われています。
ただ、工程や材料が多いので施工費用もその他の工法に比べ高額になってしまうため、一般的な住宅で複層弾性塗料工法を選択されることはあまりありません。
単層弾性塗料工法
単層弾性塗料工法とは、下塗り、中塗り、上塗りを各1回ずつ計3回塗りで仕上げる工法のことです。塗り回数が少ない分安価に施工を行うことができるので、一般的な住宅ではこちらの工法が選ばれることがほとんどです。
ただ、複層弾性塗料工法に比べて、弾性力は複層弾性工法の3分の2以下となり、防水性も劣るため弾性力は3~5年程度と言われています。
微弾性塗料+上塗り工法
微弾性塗料+上塗り工法とは、微弾性フィラーと呼ばれる下塗り材で1度下塗りをしてから、一般的な硬質塗料で中塗りと上塗りをして仕上げる工法です。
単層弾性塗料工法と工程は同じ3回塗りですが、下塗りに粘度が高い微弾性フィラーを使うことによって塗膜に伸縮性と厚みを持たせることができます。
ただ、中塗りと上塗りには一般的な硬質塗料を使用するため、上塗り塗料のグレードによって耐久性が異なります。
また、微弾性塗料+上塗り工法の場合弾性力は1~3年年程度しか弾性が持続しません。
弾性塗料が適している外壁材
モルタルには弾性塗料が最適
モルタルやコンクリートなどは特性上、経年劣化や振動の影響でひび割れが生じやすく、水分を吸収しやすい素材です。そのため、ひび割れに追従する弾性塗料はモルタル外壁やコンクリート外壁に最適な塗料と言えるでしょう。
ひび割れが生じやすい外壁の塗装に弾性塗料を利用することで、ひび割れの表面化を防ぎ、外壁材の防水性も高めることができます。
サイディングには不向き
弾性塗料は、窯業系サイディングや「直貼り工法」で施工されたサイディングには不向きです。
まず、窯業系サイディングは、熱を溜め込みやすいという性質があります。そのため、熱によって塗膜が柔らかくなってしまい、サイディングから蒸発する水分や空気の膨張によってふくれが発生する可能性があります。
また、サイディングの施工方法には「直貼り工法」と「通期工法」の2種類があります。「直貼り工法」で施工されたサイディングには、通気層がないために内側に湿気が溜まりやすいという特徴があるので、透湿性の高い塗料で塗装する必要があります。
しかし、湿気を通さない弾性塗料で「直貼り工法」で施工されたサイディングに塗装してしまうと、塗膜の膨れや剥離といった症状が生じる危険性があります。
そのため、窯業系サイディングや直貼り工法」で施工されたサイディングでは、弾性塗料による塗装はおすすめできません。
代表的な弾性塗料
弾性塗料は、各塗料メーカーから多数販売されています。代表的な商品は以下の通りです。
EC-5000PCM
株式会社アステックペイントから販売されている塗料です。
耐用年数:15年~20年程度
グレード:ピュアアクリル
DANシリコンセラ
日本ペイント株式会社から販売されている塗料です。
耐用年数:8年~10年程度
グレード:シリコン樹脂系
セラミクリーン
エスケー化研株式会社から販売されている塗料です。
耐用年数:8年~10年程度
グレード:シリコン樹脂系
アレスシルクウォール
関西ペイント株式会社から販売されている塗料です。
耐用年数:12~15年程度
グレード:無機系塗料
まとめ
弾性塗料は、伸縮性や柔軟性が高いため、 ひび割れが生じやすいモルタル外壁やコンクリート外壁の塗装に最適な塗料です。
ただし、外壁がサイディングの場合は、熱や水分によって塗膜の膨れや剥離といった症状が生じる危険性があるので注意が必要となります。
また、弾性塗料には3種類の施工方法があり、施工法や選択する上塗り塗料によっても工期や費用に違いがありますので、ご自宅の外壁に合わせて適切な工法や塗料を選択することが重要です。
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