油性(強溶剤、弱溶剤)と水性塗料の特徴
外壁や屋根塗装に使われる塗料はグレードごとに様々な種類がありますが、塗料は大きく分けて「油性塗料」と「水性塗料」の2種類に分かれています。
油性塗料と水性塗料では、それぞれ特徴に違いがあるため、建物の状態や要望にあった塗料を選ぶことが大切です。
このページでは、油性塗料と水性塗料のの違いや、それぞれのメリット・デメリットについて紹介します。
油性塗料と水性塗料の違い
外壁や屋根塗装に使われる塗料は、大きく分けると「顔料」「樹脂」「添加物」の3つの成分で配合されていますが、これだけでは粘度が高いため、そのまま外壁や屋根に塗ることはできません。
そのため、塗料の原液に「希釈剤(溶剤)」を混ぜて、薄めて使用します。この希釈剤に何を使うのかが、油性塗料と水性塗料の違いとなります。
希釈剤をどれくらい入れるかなどの希釈量は、メーカーによって細かく定められており、塗り方や気温、天気などによっても希釈量は変わります。
塗装後、しっかりと乾燥させ希釈剤が蒸発させることで、塗料が塗装面に密着するのです。
油性塗料の特徴
油性塗料とは、希釈剤に有機溶剤(シンナー)を使用する塗料のことです。
さらに、油性塗料には有機溶剤の中でも刺激が少ない塗料用のシンナーを使用した「弱溶剤塗料」と溶解力が強いラッカーシンナーなどを使用した「強溶剤塗料」の2種類に分類されます。
水性塗料の特徴
水性塗料とは、希釈剤に水を使用する塗料のことです。
シンナーなどの有機溶剤を使用しないので、臭いが少なく人体や環境への影響が少ないというのが特徴です。
油性塗料(強溶剤)のメリット・デメリット
メリット
強溶剤塗料の最大のメリットは、溶解力が強く、乾燥時間が短いため耐久性に優れているという点でしょう。溶かす力が強いことで、塗料と有機溶剤を均一に混ぜ合わせることができ、塗りムラを軽減することができます。
密着性が非常に高い塗料なので、トタンやガルバリウム鋼板などの金属の建材と相性がいいというメリットもあります。そのため、耐久性を求められる高層ビルやタワーや橋梁などの大型建築た船舶などの塗装に使用されています。
デメリット
強溶剤塗料は、溶解力が強い有機溶剤を使用するため、引火性が高く、下地を溶かしてしまう恐れもあるため取り扱いや保管場所に十分注意する必要があります。
また、有機溶剤はVOC(揮発性有機化合物)を排出するため、臭いがきつく、人体に影響を及ぼし、シックハウス症候群など健康被害を与えるため、近隣住民への配慮も欠かせません。
油性塗料(弱溶剤)のメリット・デメリット
メリット
弱溶剤塗料は、有機溶剤の中でも比較的刺激が少ない「塗料用シンナー」を使用するため、強溶剤塗料に比べて臭いだけでなく人体や環境への影響も少ないというメリットがあります。
密着性や耐久性にも優れているため、水性塗料に比べると、金属などの幅広い下地材で施工が可能です。
また、艶を綺麗に出すことができるというメリットもあります。
デメリット
弱溶剤塗料は、強溶剤塗料ほどではありませんが、塗装現場周辺ではしばらくの期間、シンナーの臭いが残ってしまうというデメリットがあります。
また、油性塗料全体に言えることですが、水性塗料に比べ乾燥後の塗膜が硬いため、比較的硬い塗膜を形成します。
そのため、地震など振動や寒暖差による伸縮に追従できずに、ひび割れが発生しやすいという点にも注意が必要です。
水性塗料のメリット・デメリット
メリット
水性塗料は、塗料を水で希釈するため、臭いや安全性の心配が少ないという点が最大のメリットです。
また、有機溶剤を使用しないことで工事費が抑えられ手軽に扱いやすく、引火などの危険性もないため保管もしやすいというメリットもあります。
デメリット
水性塗料は、金属部分には密着しにくく、鉄などの金属に塗装をすると塗料が弾いてしまうため、施工箇所に制限があるというデメリットがあります。
油性塗料に比べると、乾燥に時間がかかり、艶が落ちやすいという点にも注意が必要です。
また、完全に硬化するまでは水に弱い傾向があるので、天候をしっかりと見極めて塗装作業を行う必要があります。
油性塗料と水性塗料どちらがいいの?
極端な話をすれば、機能性や耐久性で考えるなら油性塗料、環境、人体、周りへの影響を考えるなら水性塗料が適していると言えます。
しかし、下地の状態や素材によっても向き不向きがあるため、一概にどちらがいいということができないのが現状です。
ただ、金属部にも塗装する場合には、塗料を塗り分けると費用などの面でも高くつく可能性があるため、油性塗料で統一したほうがコストを抑えることができる場合もあります。
まとめ
油性塗料と水性塗料の大きな違いは、塗料を希釈するために「水」または「有機溶剤」のどちらを使用するかという点です。
近年は、人体の影響が少ない水性塗料を選ぶ方が増えてはいますが、建物の劣化状態や周囲の環境やなどを総合的に判断することが重要です。
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