シリコン塗料の特徴と単価
現在主流の塗料グレードのシリコン塗料。弊社では、水性塗料はあまり信じていないので、特別な場合を除き「弱溶剤2液型シリコン」をオススメしています。
シリコン塗料の平米単価は、2,500円~2,800円です。10年ごとに塗替えを希望する方にオススメの塗料グレードです。
ただし、シリコン塗料の中には、「シリコンの上をいくシリコン」と謳って過剰な表現をしている塗料もあるので注意が必要です。
このページでは、シリコン塗料のメリット・デメリット、オススメの塗料などを説明していきます。
目 次
シリコン塗料はどんな塗料なのか?
塗料の話の前にシリコンって一体なんぞや?からご説明をしていきたいと思います。このシリコンですが、実は自然界にあるケイ石(SIO2)という白い石から出来ているのです。
ケイ石自体は無機質ですが、電気炉でコークスなどの炭素材で還元し金属ケイ素を作り、複雑な化学反応を与えると無機有機の性質を兼ねそろえた万能な合成樹脂シリコンができます。このシリコン樹脂を使った塗料がシリコン塗料です。
何が万能かといいますと、高温、低温に強い「耐熱性・耐寒性」、紫外線にさらされても劣化しにくい「耐候性」、水をはじく「撥水性」など、さまざまな特性を発揮します。身近なところだとシャンプーやファンデーションなどにもシリコンは用いられております。
メリット1:アクリルやウレタンより長持ち!
耐水性に優れた樹脂ですので、建物を雨から守るという意味で、アクリル樹脂やウレタン樹脂の塗料よりは耐候性は高く長持ちします。また、耐紫外線にも強いため耐候性が高く長持ちします。
メリット2:撥水性が高いため汚れにくい!
撥水性が高いため、汚れが付着しにくいです。綺麗な状態をキープしやすいです。
メリット3:フッ素に比べるとコストを抑えることができます!
シリコン樹脂は、1ランク上のフッ素樹脂に比べると安価でコストを抑えることが可能です。
デメリット1:密着力が悪いことも
密着力がウレタン塗料に比べると若干落ちることがあります。塗料メーカーによっては、密着力を高めるために下塗りした後にウレタンの塗料を中塗りに指定しているところもあることからも言えることだと思います。
私が独立して間もない当時、塗料メーカーから「中塗り(ウレタン)を使わずに上塗りを2度塗装しても構わない」と言われて施工した結果、思わぬ不具合を起こしたこともありました。
メーカーの言い分は「1回目は希釈を多めにしてほしい…」でした。全くありえない話ですよね。十分に乾燥時間(インターバル)を取っても起こる不具合も存在します。
デメリット2:シリコン塗料が出回りすぎている
巷に多く溢れているので「どれが良い塗料か?」と判断が難しい点です。
ハウスメーカーや塗装・リフォームを展開している会社のほとんどが、現在主流の水性シリコンを使います。
メーカーによっては「シリコンの上をいくシリコン」と謳って過剰な表現をしているところもありますが、これは過大表現です。このような塗料でも、普通のシリコン塗料に紫外線に強い対策をして、それ以外はそんなに驚くような技術は使っていない、ということがほとんどです。
また、オリジナル塗料というものは、ほとんどがOEMといって別の塗料メーカーが作っている塗料に容器やラベルを貼って売っているだけです。
どこの塗料が本当にいいのか?これはここで話すと問題なので、直接お話を聞きたい方がおりましたら、口頭でお教えいたします。どこの業界もそうなのかもしれませんが私から言わせると悲しいかな嘘ばっかりです…
デメリット3:塗膜が固い
メーカーによっては弾性の硬化剤で塗料を柔らかくすることもできますが、一般的に塗膜は固いのでヒビには追従できません。
シーリング材の上に塗料を塗った場合、固いものと柔らかいものという相反する技術を重ねることになりますので、地震やその他動きがあるような際には塗膜は割れることになります。
だからと言って、壁全体に弾力のある塗料を塗ることは、膨れなどの余計なリスクを抱えることになりますので、割れを嫌うのであればシーリングの後打ちをおすすめしております。
シリコン塗料の施工単価(m2)
2,500円~2,800円です。
下塗りの種類によっても若干の違いは出ますが、シリコン塗料で過大な表現をせずに表した数字です。3,500円だと弊社では格上のフッ素も使用できます。
弊社でシリコン塗料を選ばれるお客様の割合
アクリル0%、ウレタン0%、シリコン30%、ラジカル制御20%、フッ素20%、無機塗料20%、断熱塗料ガイナ10%です。弊社では、弱溶剤2液のシリコンを一番よく使います。
こんな方にオススメする塗料です
10年を目安に塗り替えをお考えの方には、弱溶剤2液型シリコンをオススメします。
オススメのシリコン塗料「ファインシリコンフレッシュ(日本ペイント)」:平米単価2,800円
日本ペイントは、明治14年設立の日本最初の洋式塗料メーカー。前身は光明社という社名。言わずと知れた日本を代表する2大塗料メーカーの1社が、技術の粋を結集して市場に送り出したロングセラー。
2液型の弱溶剤タイプ艶持ちもよく使いやすい塗料です。金額は若干高めなのは自信の証でもあると考えます。
代表的なシリコン塗料
セラMシリコン(関西ペイント):平米単価2,800円
大正7年創業。日本が世界に誇る2大巨頭の塗料メーカー。密着力・艶持ちなどは申し分のない塗料です。容量が若干少ないのもミソ。2液型の弱溶剤タイプ金額は若干高め。1液タイプも自信を持っているようですが、耐久性は弊社の実績では雲泥の差5年後にその差が現れます。
キクスイSPパワーシリコン(菊水化学工業):平米単価2,500円
2液型の弱溶剤タイプ。添加する成分が変わり信頼度が増してきております。販売している会社によっては耐候性は15年と謳っています。
クリーンマイルドシリコン(SK化研):平米単価2,300円
2液型の弱溶剤タイプ。若干コスト的に抑えたい方におすすめです。ハウスメーカーや大手リフォーム会社に責任施工で参入しシェアを拡大。光沢保持率は高いが、他のメーカーの意見だとそもそもの艶が低いという見解もある。
プレミアムシリコン(SK化研):平米単価2,050円
1液型水性タイプのラジカル制御型ハイブリットシリコン。キセノンランプによる促進耐候試験の結果では、光沢保持率は15年で80%とかなりいい結果は出ておりますが、前述した通り私はそもそも水性を信じておりませんので使用したことはありません。
シリコン塗料に関するよくある質問
1.シリコン塗料は、ひび割れしやすい塗膜だと聞いたのですが、本当でしょうか?
間違っていないです。これは、シリコンに限った話ではなく、塗料全般に言えるのが塗膜になると固くなるということです。ですから、間違ってはいませんが、その中には弾性タイプもありますので、すべてにおいて固いというわけではありません。
私の個人的な見解ですが、ヒビ割れをすることよりも、その状態を放置してしまうことが悪いわけです。ゴムのように割れない塗料を塗って、内部は割れているのにそれを包み隠すという理論は、内部に隠れてしまったヒビを隠蔽し補修できない状態にするという考え方なので、とてもナンセンスだと考えます。
また、伸び率を過大に表現している場合がありますが、塗膜に対しての伸び率であることを知らないと、思わぬしっぺ返しを食らうことになります。ローラーで上塗り2回しか塗らないのにゴムのように伸びることはありません。
また、サンプルにある試験体は、紫外線を当てた後ではありませんので、数年後に固くなることはサルでも分かることだと思います。冷静に物事を考えると、ヒビが可視化できる方が補修しやすいですし、逆に塗装で長持ちさせることが可能となります。
むやみやたらに割れない塗料を塗ると膨れや剥離(はがれ)の原因となりますので、鵜呑みにせずに注意することが必要です。
2.シリコン塗料は、重ね塗りが不向きと聞いたのですが、本当でしょうか?
メーカーによりけりの話ではありますが、私の見解では間違っていると思います。
塗料には、可使時間というものがあり、塗り重ねに必要な時間が最短と最長で決まっております。塗料のカタログなどでご確認いただければと思いますが、大体20℃で塗装後3時間~7日以内となってます。1日に3回塗りが事実上無理なのは、この可使時間に照らし合わせればわかるかと思います。
逆に1ヶ月くらいかけて3回塗るのも密着不良などの不具合を起こす原因となります。人員不足で住宅を塗るのに1か月以上かけて工事をしている業者さんを見ることがあります。一般の方は丁寧に仕事しているようだと誤解しがちですが、私から言わせると逆です。
3.低粘度のため扱いにくいと聞いたのですが、本当でしょうか?
間違いです。
塗料の場合、使用する刷毛やローラーなどの道具が動物の毛や繊維で出来ておりますので低粘度だと扱いやすく、高粘度だと扱いづらいのが塗料の特徴です。水性塗料であればお水で希釈、油性であればシンナーの規定量0~5%ないし10%で希釈して塗装を施します。
また、季節によっても希釈率は変えなければなりません。例えば、夏場は揮発が早い為に少し多めの希釈が必要です。低粘度で扱いにくいのは左官のモルタルです。鏝から滑り落ちるほどの低粘度だと思ったようなお仕事は出来ません。
まとめ
現在日本の市場にはシリコン塗料が溢れ返っております。これは顧客のニーズにもマッチしたものだからとも言えます。しかしながら、一般の方からするとその数が多ければ多いほどどれがいいの?とか、どれも同じでしょ?などと戸惑ったり、逆に安易に答えを出してしまいがちです。
さらに言えば営業マンが自分の家に塗装するなら絶対に使わない塗料を売り込まれたりすれば知らないうちに最低のものを塗られてしまうという最悪の事態も起こりかねません。これは、我々プロでもなかなか調べることは難しくメーカーの鵜呑みになる現状があります。
しかしながら、経験と実績の中で時には失敗しながら培われてきたノウハウは間違いのないものを選ぶ力があるのです。弊社のHPにお越しいただいたお客様には本物を選ぶ権利がありますので、お問い合わせいただき弊社においでいただければ塗料業界の裏と表、私が真実をお伝えいたします。