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塗装工事で使う刷毛、ローラー、スプレーの種類と特徴

塗装道具には、刷毛やローラー、スプレーなど様々な種類があり、塗料の性能を最大限に発揮するためには、施工する箇所や目的に合わせて道具を使い分けて塗装を行うことが重要です。

このページでは、塗装に使う道具の種類や特徴、それぞれのメリットやデメリットについて紹介します。

塗装を行う道具は3種類


塗装道具には、主に「刷毛」「ローラー」「スプレー」の3種類があり、施工する箇所や目的に合わせて使い分ける必要があります。

一昔前までは、刷毛での施工が主流となっていましたが、現在は作業の8割をローラーで施工し、細かい部分を刷毛で施工するというのが一般的です。

次に、それぞれの特徴を詳しく紹介します。

刷毛


刷毛は、木やプラスチックの柄の先端に動物や化学繊維の毛を取り付けた道具の、その歴史は非常に古く、縄文時代から原型があったとも言われています。

刷毛に使われる毛や柄の形状には多くの種類があり、塗料の特性や施工する箇所によって使い分けることが可能です。

メリット

刷毛は、塗料の飛び散りが少ないというメリットがあります。まや、ローラーでは難しい複雑な形状や細かな部分でも刷毛であれば対応することができます。

デメリット

刷毛は、一度に塗装できる範囲が狭いので、広い面を塗装するには時間がかかり効率が悪いというデメリットがあります。

また、仕上りが職人の腕によって左右されやすいため、綺麗に仕上げるには熟練の技術が必要です。

刷毛の素材

刷毛に使われる毛の素材にはいくつかの種類がありは、大きく分けると「獣毛」と「化学繊維」の2種類に分類することができます。

主に溶剤系の塗料には獣毛、水性の塗料には化学繊維が使われており、獣毛と一言で言っても、馬やヤギ、豚などの毛が素材として使われています。

それぞれの特徴は以下の通りです。

【馬】
部位ごとにもそれぞれ特徴がありますが、どの部分も高級素材として取り扱われており、耐水性が高いという特徴があります。

【山羊】
馬の毛と同様に、全身の毛が余すところなく素材として使われており、毛質が柔らかく、塗料の含みが良いという特徴があります。

【豚】
馬や山羊のように部位ごとに毛質が変わることはありませんが、馬の毛よりも硬くコシがありますが、毛先が割れていることで毛質のわりに柔らかいという特徴があります。

主に高粘度塗料用の刷毛やダスターなどに使われます。

【化学繊維】
主にPBT(ポリブチレンテレフタレート)樹脂やカネゴートというアクリル系化学繊維などが使われており、水性塗料を塗装する際に適した素材です。

PBT樹脂には、耐水性や耐薬品性に優れ、酸やアルカリにも強いという性質があります。化学繊維の中では高級素材として扱われていて、乾きが早く、曲げやたわみの回復性に強いという特長があります。

また、カネゴートには、軽量で耐水性・保水性に優れているという特徴があります。

  部位ごとの特徴
天尾(尾毛) 毛が長く、耐水性、弾力性に優れているため、塗装の刷毛として最適な素材で最高級品として扱われています。
振毛(たてがみ) 尾の次によく使われる部分で、耐水性、弾力性に優れています。
馬蹄毛(蹄の周囲) 細筋でしなやか、弾良性に優れた高級原料です。
山羊 ヤンオ(尾毛) 毛にコシがあり、耐久性が高く主に白い高級刷毛に使われています。
ヤンス(顎ヒゲ) ソフトな感触で、艶と弾良性に優れています。主に合成樹脂塗料などの塗装用の刷毛として使われます。
白細(背中) 毛先が細くしなやかなため、粘度が低いニスなどの塗装用の刷毛として使われます。

刷毛の種類と特徴

刷毛は、形状によっても用途が異なります。種類ごとの用途や特徴は以下の通りです。

種類 特徴
平刷毛 幅が広く平らな形状をしています。広い面や平面の塗装をする際に使用します。ベタ刷毛とも呼ばれています。
筋交い刷毛 柄の部分が45度の角度で曲がった形状をしています。鉛筆と同じような持ち方で毛先を細かく動かすことができるので、作業性が高いという特徴があります。角や細かい箇所を塗るのに適しています。
寸胴刷毛 平刷毛と似た形状をしていますが、平刷毛に比べ毛量が多く、塗料の含みが良いという特徴があります。刷毛に多くの塗料を含ませることができるので、広い面積を一度に塗り進めることができます。
目地刷毛

柄が細長で、毛幅が短い刷毛が特徴です。目地やタイルの間など、細かな作業に適しています。小さな傷や塗膜の割れなどを補修するタッチアップにも向いています。

隅切り刷毛 毛先が短く、毛先はバラつかずにコシが強いのが特徴です。境目や狭い溝の部分を塗る際の仕上げ用に適した刷毛で、隅切り刷毛に比べ毛先が長い刷毛はダメ込み刷毛と呼ばれています。
ラスター ダスターとも呼ばれ、主に掃除などで使われています。
鉄骨刷毛 鉄骨などの金属部分の塗装に使われる刷毛で、毛先が長く厚口でコシが強いという特徴があります。塗料の吐き出しが良いので厚塗りしやすくなっています。
水性刷毛 化学繊維で作られた刷毛で、水性塗料での塗装に使われます。水性塗料は、獣毛だけでは刷毛の中で塗料が固まってしまうため、塗料が固まらないよう化学繊維で作られた刷毛を使います。100%化学繊維のものもあれば、獣毛を組み合わせて作られているものもあります。

ローラー


ローラーとは、芯になる筒に獣毛やスポンジ状の化学繊維を巻き付けたものです。

基本的に壁や屋根塗装では、平らな面の範囲が広いため、塗装全体のうち約8割の作業はローラーを使って手作業で仕上げていきます。

メリット

刷毛での塗装に比べ、道具が扱いやすく半分くらいの時間で広い範囲を塗装することができるというメリットがあります。

また、塗料の飛び散りが少ないので狭い場所や植木などが密集している場所でも使うことができます。

デメリット

ローラーは、道具の良し悪しが仕上りに大きく影響するというデメリットがあります。劣化していたり質の悪いものだと、表面のうぶ毛がバサバサと抜けてしまったり、毛羽立って塗膜に気泡が入ってしまうことがあります。

また、難しい複雑な形状や細かな部分には不向きで、塗装する際にはみ出してしまったり、そもそもローラー自体が入らない場合があります。

ローラーの種類と特徴

ローラーには大きく分けて「羊毛ローラー」「砂骨ローラー」「特殊ローラー」の3種類があります。

【羊毛ローラー】
羊毛ローラーは、ローラーの中で最も一般的に用いられる種類で、ウールローラーやウーローラーなどとも呼ばれています。

羊毛のように柔らかな繊維でできており、毛丈の長さに応じて短毛、中毛、長毛などのの種類があります。

毛足が長いほど多くの塗料を含ませることができるので、広い面積を一度に塗り進めることができ、反対に毛足の短いローラーを使えば、きめ細やかな仕上がりになります。

外壁や屋根塗装では、主に短毛や中毛のローラーを併用して作業する場合が多いです。

種類 毛足の長さ 特徴
短毛ローラー 5mm前後 平らで凹凸のない面を塗装する場合や目地や凹みを塗らないで仕上げる場合に使用します。
中毛ローラー 13mm前後 最も使用頻度が高い種類で、汎用性が高く様々な部分で使用することができます。
長毛ローラー 20mm以上 毛足が長いため、凹凸が深い塗装面を塗るのに適しています。多くの塗料を含ませることができるので、広い面積を一度に塗り進めることはできますが、仕上がりにムラが出来る可能性があるので注意が必要です。

【砂骨ローラー】
砂骨ローラーは、大量の空洞があるポンジ製ローラーで、一度にたくさんの塗料を吸い上げることができます。

主に鎖骨材(樹脂に砂入りの骨材を混ぜたもの)入りの塗料や、厚塗り用の粘度が高い塗料を塗る際に使用します。

【特殊ローラー】
塗装では一般的に羊毛ローラーと砂骨ローラーの2種類を使って塗装しますが、多孔質ローラーやパターンローラー、ヘッドカットローラーなどの特殊なローラーを使い分けて仕上げることもあります。

塗装する面の凹凸の有無や素材などによって、様々な種類から適したローラーで塗装を行います。

スプレー


スプレーは、スプレーガンと呼ばれる専用の道具に、塗料を入れて霧状に外壁に吹き付けて塗装を行います。

メリット

スプレーで塗料を吹き付けることで複雑な模様や凹凸で立体感を出すことができるため、重厚な雰囲気に仕上げることができます。

また、広範囲を短時間で施工することができ、作業跡が分かりにくく補修や改修にも向いているというメリットがあります。

デメリット

塗料を吹き付けることで、広範囲に素早く塗料を塗ることが出来ますが、飛散しやすいため塗料のロスが多く、刷毛やローラーに比べ養生の手間が増える、騒音や発生するといったデメリットがあります。

また、以前はスプレーガンでしか出来なかった模様がローラーでも作れるようになったため、現在外壁塗装ではあまり使われなくなってきています。

スプレーの種類と特徴

塗装に使われるスプレーには、エアスプレーとエアレススプレーの2種類があります。それぞれの特徴は以下の通りです。

種類 特徴
エアスプレー 圧縮した「空気」と一緒に塗料を噴射するタイプのスプレーです。空気が混ざっている分塗料が細かく分散され、塗りムラがよりできにくいので、玄関ドアや雨戸など、塗りムラが目立ちやすい箇所で使われます。ただ、大量の塗料を噴射するので周囲への飛び散りも多くロスも多いという特徴もあります。
エアレススプレー 「塗料」自体を圧縮し、小さな噴射口から噴射するタイプのスプレーです。高粘度の塗料など多くの種類に対応でき、厚塗りができるという特徴がありますが、空気を含まない分、一度に多くの塗料が噴出されるため、タレなどの塗装不良が発生しやすく施工には技術が必要です。

まとめ

塗装道具には、刷毛ひとつをとっても用途によって様々な種類があり、装箇所や工法、塗料によって適切に使い分ける必要があります。

様々な道具の中から、最適な組み合わせで使い分けることができてはじめて、塗料の性能を最大限に引き出し、丈夫な塗膜をつくることができるのです。

作業する職人の知識や技術力が低いと、どの道具を使ったとしてもキレイに仕上げることはできないので、外壁屋根塗装では経験豊富で信頼のできる業者に依頼することがとても重要です。

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