外壁タイルの特徴と塗装料金
外壁材の種類はいくつかあり、その中でもタイルはメンテナンスフリーの外壁材と言われることが多いです。しかし、劣化しないからメンテナンスが全く必要ないというわけではなく、外壁の状況に合わせて定期的に修理はしなければなりません。
今回は、外壁タイルのメリット・デメリットや種類、どのような劣化症状がみられるようになるのかをご紹介いたします。
また、メンテナンス方法や費用についてもご紹介するので、タイルの特徴を知りたいという方はぜひ参考にしてみてください。
外壁タイルの特徴
タイルとは、石や土、砂などの無機質な素材を原料とし、これらを混ぜ合わせて形成して高温で焼き固めたものになります。耐用年数は20年~40年程度です。
タイルの施工方法には「湿式工法」と「乾式工法」の2種類あり、湿式工法はタイルを貼るときに下地にモルタルを塗って接着する方法、乾式工法はモルタルではなく専用の弾性接着剤を使用して、タイルを貼り付けていく方法です。現在は、専用の接着剤を使う乾式工法が主流です。
ここからはタイルのメリット・デメリットをご説明いたします。
メリット
外壁タイルのメリットは次の3つです。
外壁タイルのメリットは立体感があり、高級感や重厚感のある風合いが演出できる点です。さらに、タイルのサイズや色などの組み合わせによって様々なデザインを実現できるため、他の外壁材にはない自分好みの外壁を実現することが可能です。
そして、無機質な素材を使っているため、摩擦や傷に強く、耐久性が高いのも大きなメリットです。塗装も必要ないので、サイディングやモルタルなどに比べてメンテナンスの手間や費用が抑えられます。
デメリット
外壁タイルのデメリットは、次の3つです。
外壁をタイルにする費用は、一般的な大きさの戸建の場合で約300万円程かかります。一般的によく用いられているサイディングは150万円程度なので、タイルは約2倍と初期費用が高い点がデメリットです。
さらに、施工には高い技術力が必要となり、職人の技術や経験が不足しているとタイルに浮きや歪みが生じ、施工不良や美観の低下に繋がってしまいます。
また、現在の工法でタイルが剥がれることは少ないのですが、業者の施工不良でタイルの剥離が発生する可能性があり、落下によって周囲の建物や車などを傷つける恐れもあります。
剥離に関しては定期的なメンテナンスで予防できるため、日頃から点検をして状態を確認しておくことが大切です。
外壁タイルの種類
タイルの種類は、素地・形状・サイズで分類されます。様々な種類を組み合わせることで、自分好みのデザイン性の高い外壁を実現できます。
素地の種類
素地の種類は、以前は「磁器質」「せっ器質」「陶器質」の3種類に区分されていましたが、現在は吸水率によって「Ⅰ類」「Ⅱ類」「Ⅲ類」に区分されています。
外壁材として使用されるのは、吸水率が低いⅠ類・Ⅱ類の主に磁器質やせっ器質が一般的です。
Ⅰ類 | 吸水率3%以下。1250℃以上の高温で焼き固めたタイル。最も硬く、耐久性が高い。外壁や水回り使われる。 |
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Ⅱ類 | 吸水率10%以下。約1200℃で焼き固めたタイル。レンガのような風合い。表面に模様を付けることができる。 |
Ⅲ類 | 吸水率50%以下。約1,000℃で焼き固めたタイル。主に内装に使われる。 |
形状の種類
タイルの形状は「平物タイル」「ユニットタイル」「役物タイル」の3種類あり、施工箇所に合わせてそれぞれのタイルを使用します。
平物タイル | 長方形または正方形の平らなタイル |
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ユニットタイル | 複数の平物タイルを連結しているタイル |
役物タイル | 角や開口部などに使用する特殊な形状をしているタイル |
サイズの種類
タイルのサイズは数種類あり、外壁には主に次のようなものが使用されます。
二丁掛タイル 227mm×60mm |
現在の主流で種類が豊富。レンガと同じくらいの大きさ。 |
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小口平タイル 108mm×60mm |
ひと昔前は主流だったが、現在はあまり使用されていない。種類が少なめ。 |
50角タイル 45mm×45mm |
小さめのタイルで、モザイクタイルによく用いられる。一般的には他のタイルと組みわせて使う。 |
45二丁タイル 45mm×95mm |
比較的、安価。300mm×300mmのユニットタイプになっていることが多い。 |
ボーダータイル 227mm×30mm |
二丁掛タイルを半分にしたものが基本だが、様々なサイズがある。シャープな印象になる。 |
外壁タイルの劣化症状
耐久性の高い外壁タイルですが、全く劣化しないというわけではなく、年月の経過とともに次の症状がみられるようになります。
白華現象
タイル表面が白く汚れることを白華現象と言い、エフロレッセンスとも呼ばれます。白華現象はモルタルやコンクリートに含まれる成分が、雨水によってタイルの表面に溶け出すことで発生します。
白華現象が起きているからといって建物に悪影響を及ぼすわけではありませんが、タイルの破損や施工不良により雨水が内部に入り込んでいる可能性も考えられるため、一度業者に状況を見てもらうと安心です。
タイルの浮き・剥がれ
タイルの浮きや剥がれは、下地のモルタルや接着剤の経年劣化または施工不良が原因で発生します。見た目では浮いていることを確認するのは難しいため、打診棒と呼ばれる専用のハンマーなどを使ってタイルを叩き調べていきます。
浮きを放置しているとタイルが剥がれて外壁材としての役割が低下するだけでなく、タイルが落下して周囲の建物や車を傷つけたり、通行人に当たって大きな事故に繋がる恐れがあるため注意が必要です。
ひび割れ・破損
強度のあるタイルですが、経年劣化によってひび割れや破損が起こるケースももあります。
ひび割れや破損を放置していると、劣化によって生じた隙間から雨水が浸入したり、タイルの剥離などに発展する可能性があります。そのため、浮き・剥がれと同様に、ひび割れや破損が発生している場合も早めのメンテナンスが重要です。
外壁タイルのメンテナンス方法
まず外壁タイルは、基本的に塗装をする必要はありません。
サイディングやモルタルなどの有機質な素材で作られた外壁材は紫外線に当たると劣化するため、定期的に塗装をして外壁材を保護しなければなりませんが、タイルのような無機質な素材で作る外壁材は紫外線の影響を受けないので塗装は不要です。
しかし、上記でご説明したようなタイルの破損や剥がれなどが発生していたり、目地部分のコーキングが劣化している場合はメンテナンスが必要となります。主なメンテナンス方法は以下の通りです。
洗浄
タイルも時間が経つと汚れが目立ってくるため、年1回の洗浄を実施するのが望ましいです。柔らかいスポンジで水洗いし、頑固な汚れは高圧洗浄機を使うと美観を保つことができます。
浮き・剥がれの補修
タイルの浮きや剥がれが軽度の場合は、ピンニング工法と呼ばれる方法で補修するのが一般的です。
浮いているタイル周辺の目地部分からエポキシ樹脂を充填し、タイルと下地の隙間を埋めて接着していきます。
また、浮きや剥がれが広範囲にわたっている場合は、該当のタイルを剥がして再度張り直す方法で補修します。
ひび割れ・破損の補修
ひび割れや破損が発生している場合は、タイルの張り替えを行います。タイルの張り替えは全体的に行うのではなく、基本的に劣化しているタイルのみの施工となります。
タイル交換の注意点として、新しいものに交換する際に既存のタイルと色が異なるケースがあります。これを防ぐ為には、新築時にタイルの予備を保管しておいたり、業者に色合わせをお願いする必要があります。
目地コーキングの打ち直し
タイル同士の隙間を目地と言い、この目地部分のはコーキングと呼ばれるゴム状の部材が充填されています。
コーキングの劣化が進行するとひび割れや剥がれなどが発生し、雨水の浸入やタイルの破損に繋がってしまうため、10年を目安に定期的なメンテナンスが必要となります。
コーキングの補修は、古くなったコーキングを剥がして、そこに新たにコーキング材を充填する方法が一般的です。
外壁タイルのメンテナンス費用
外壁タイルのメンテナンスにかかる費用は、30~50万円程度が相場です。
塗装が必要な外壁の場合は100万円近く費用がかかるケースもありますが、外壁タイルは初期費用は高めでありながらも、塗装が不要なのでメンテナンス費用を大幅に軽減できます。
さらに、タイルの浮きや破損などが起きている場合も劣化部分のみを補修することが可能なので、メンテナンスにかかる手間や費用も抑えられます。
まとめ
外壁タイルは耐久性が高く、デザイン性にも優れているのが特徴です。初期費用は他の外壁材に比べて高めですが、塗装によるメンテナンスも不要なので、メンテナンス費用を安く抑えられるメリットもあります。
ただし、年月の経過とともにタイルの浮きや割れ、目地コーキングの劣化などがみられるようになるため、完全にメンテナンスフリーというわけではありません。
メンテナンスを怠ると、外壁内部に雨水が浸入して雨漏りに発展したり、落下したタイルで通行人にケガを負わせてしまうなどの大きなトラブルに繋がる恐れがあります。そのため、約10年ごとに定期的に点検・メンテナンスを行うことが大切です。