フッ素塗料の特徴と単価
弊社のお客様の2~3割がフッ素塗料のグレードを選びます。
フッ素塗料の平米単価は、下塗りを入れて3,000~3,500円です。金額だけで見ると高い塗料ですが、約15年もつのでLCC(ライフサイクルコスト)が安くすむ優れた塗料です。
このページでは、フッ素塗料のメリット・デメリット、オススメの塗料などを説明していきます。
目 次
フッ素塗料はどんな塗料なのか?
フッ素塗料の前に、フッ素樹脂PFAS(フッ素化合物)の歴史から少し。1771年にスウェーデンの科学者カール・ヴェルヘイム・シューレが、ホタル石に硫酸を加えた際にフッ化水素酸(フッ酸)が出ることを確認。
その後時は流れ、1935年に米国デュポン社のロイ・プランケットのフロン研究の際に偶発的に発見されたのがテフロンです。その後も研究は続けられて、現在では4,700種類のフッ素合成樹脂が存在します。
塗料で使用するフッ素樹脂とは、プラスチックの原料にもなっているフッ素を含むオレフィンを重合し得られる合成樹脂の総称です。私たちの生活のあらゆるところでこのフッ素樹脂は活躍しております。
フッ化水素酸単体では、ガラスを溶かすほどの強烈な毒性があり一般人が取り扱うことはかなり危険ですが、製品として出荷されるフッ素樹脂塗料はそのような強烈な毒性は持っておりません。
日本で高純度のフッ素樹脂を製造できるのは、ステラケミファ・森田化学工業・ダイキンの3社のみです。エアコンで有名な、あのダイキンさんも樹脂を塗料メーカーに卸すだけでなく、塗料を作っていることはあまり知られていない事実です。
各メーカーで競争しているので、様々なフッ素樹脂を使って塗料を作っていますが、出どころは重複しています。また、純度の悪いものを使っているメーカーも存在します。
メリット
・色・艶の持ちがいい。耐候性・耐久性が高いとも表現されます
・親水性のため汚れが付着しにくいです
・防藻・防カビ性がある。防カビ剤を若干添加しています
・耐薬品性に優れている。塩害や酸性雨にも強いです
デメリット
■弾性系以外の塗膜が固い
その他の塗料にも言えることであるが、弾性系以外の塗膜が固いためシーリングの上に塗れば動きがあった際に必ず割れてしまいます。
■次回塗り替えの際に密着が悪く
次回塗り替えの際に密着が悪くなることがあるので、密着をよくする下塗りを採用する必要があります。弊社でリピートのお客様でしたら当然のことながら下塗りを変えますが、新築の際にフッ素コーティングなどを施されている外壁材などを採用している場合は注意が必要です。
それを知らない業者が施工すると後から密着不良でとんでもない事態になりかねません。
■金額が高価
シリコン塗料が大体1,800円/m2程度に対して、3000円1,800円/m2程度と、かなり高いです。しかしながら、弊社の施工実績を見るとフッ素を採用しているお客様も多いです。高い分、その効果もいい為15年の安心を買うのであればオススメです。
■フッ化水素酸は毒性を持つ物質
一度塗れば長期間耐久性があるため、LCC(ライフサイクルコスト)には非常に貢献しておりますが、原料のフッ化水素酸は毒性を持つ物質であることから、近年その危険性が取り沙汰されています。アメリカの軍需研究がもたらした世紀の大発明と言われていますが、完全に分解することが出来ないという欠点もあります。
フッ素塗料の施工単価(m2)
下塗りを入れて3,000~3,500円/m2になります。
弊社でシリコン塗料を選ばれるお客様の割合
アクリル0%、ウレタン0%、シリコン30%、ラジカル制御20%、フッ素20%、無機塗料20%、断熱塗料ガイナ10%です。弊社では、弱溶剤2液のシリコンを一番よく使います。
こんな方にオススメする塗料です
シリコン塗料で10年の耐久性に対して15年の耐久性であることからもコストパフォーマンスはいいです。そのため、15年の安心を勝ち取るのであればフッ素はオススメです。
オススメのフッ素塗料「ダテフロン」:平米単価3,000円
業界底上げ組織であるペインターラボ東北が、地域に根差したいい塗料を東北の地から発信したい!との想いで、塗料メーカーとの共同開発により誕生した塗料。
代表的なフッ素塗料
デュフロン4Fセラミック(日本ペイント):平米単価3,500円
2液の4フッ化フッ素樹脂塗料で信頼性は高い。これまで3フッ化フッ素樹脂が主流でしたが紫外線により強くなったと言われている。
セラМフッ素(関西ペイント):平米単価3,500円
関西ペイントセラМシリーズ最高峰の塗料。
キクスイSPパワーフッソ(菊水化学工業):平米単価3,500円
SPシリーズ最高峰オールマイティーで使い勝手がいいまたこのメーカーは数年前からドイツのメーカーとBASF社と業務提携を果たし『技術の菊水』としての存在感を本格化させている。防錆・弾性・ノーマルの3種類の硬化剤で塗装面を選ばないまさに万能といえる商品です。
クリーンマイルドフッソ(SK化研):平米単価3,500円
全国の同業者の仲間の中でもクリーンマイルドシリーズのファンは多い。使い勝手もよく安定性があります。
水系ファインコートフッ素DX(菊水化学工業):平米単価2,800円
水系ファインコートシリーズ最高峰水系です。水性がお好みであれば最低でもこれを使っていただきたい。
フッ素塗料に関するよくある質問
艶ありしかないと聞いたのですが、本当でしょうか?
これは間違っています。艶有り塗料にはフラットベースといって艶を抑える薬がありますのでメーカーによってですが7分・5分・3分の艶調整が可能です。
塗膜が割れやすい聞いたのですが、本当でしょうか?
間違っています。よく素人さんや知ったかぶりの同業者さんは「フッ素は割れるからやめた方がいい。」なんて言ったりするのですが、塗料は弾性でない限り通常固いものですので、必要に応じて弾性硬化剤を添加すればその機能は果たせます。
ただし、闇雲に弾性を塗ることは膨れなどの原因にもなりますので適材適所での使用がいいでしょう。
1度フッ素で塗装すると、次もフッ素で塗装しなきゃダメと聞いたのですが、本当でしょうか?
これは間違っています。というか一昔前までのセオリーです。フッ素の塗膜は硬化した後はその上に塗るものに対して密着しにくい効果がありますので、一昔前まではフッ素しか乗らないというように言われておりました。
現在は、光触媒やフッ素樹脂などをその上に塗装できなかったものに対して、塗装を可能にする下塗り材が出てきておりますので、それさえ使えば問題はありません。
まとめ
フッ素樹脂は、抜群の耐候性・耐薬品性で私たちの生活の中に多数存在しています。
フッ素樹脂塗料は、約15年の耐候性を持ちLCC(ライフサイクルコスト)の軽減に大きく寄与しています。弊社では、3割~4割のお客様がダテフロン(4F2液フッ素)で塗装していて、お喜びの声も多くいただいております。
その反面、原料であるフッ化水素(フッ素と水素)は、毒性があり単体で考えると自然界や人体に悪影響を与えると警鐘を鳴らしている人がいることは確かです。今後10年後、私たちを取り巻く環境がどうなっていくかは誰にも分かりません。いずれにせよケミカル製品においては、製造から処分までを見たときに完全に無害無毒というものはなく、水性塗料においても結局は無害なものにはならないはずです。
しかしながら、フッ素樹脂塗料自体はプラスチックの原料でもあるフッ素を含むオレフェンtp重合結合で合成樹脂化されており、非常に安定しておりますし毒性も強くありません。それを屋根や壁に塗装して塗膜形成されれば、地中などに漏れることも人体に及ぼす影響も心配はまずありません。
我々が住む地球はもはや神が守るのではなく、私たち人間ひとりひとりに委ねられているといっても過言ではありません。フッ素樹脂PFAS(フッ素化合物)が生活の一部に入り込んできている現在、今私たちにできることは極力ゴミにすると有害にものをなるべく増やさない努力、法に乗っ取った処分方法を行うことなどが挙げられます。
いいものをいいもののままで残すためには作る方もそうですが、使う方も努力をしなければならないはずです。このようなことを踏まえてこれからも塗ることだけに拘らず、グローバルな考え方で未来に向かって行動していきたいと考えております。