ウレタン塗料の特徴と単価
ウレタンは、シリコンよりも安価ですが、耐久年数が6~8年と短いため、弊社ではお客様からの指定がない限り使いません。ただし、耐薬品性に優れているため工場などで使用されることは多いです。
このページでは、ウレタン塗料の特徴や単価を説明しています。
目 次
ウレタン塗料はどんな塗料なのか?
ウレタン塗料は、組成内にウレタン結合を有するポリマー(高分子)のことで、基本的には2個以上のイソシアネート基を持つ化合物と水酸基を持つ化合物を反応させることで得られます。
ウレタン塗料には、強溶剤・弱溶剤などの油性の物と水性の物があり、それぞれ1液型・2液型があります。強溶剤に関しては車両用などに用いられますが、建築塗料としてのウレタン塗料は臭気などの問題により弱溶剤と水性になります。
塗料業界ではポリウレタンのことを通称でウレタン塗料と呼びますが、大きく分けると2種類と覚えてください。
1つ目はポリウレタン
1つ目はポリウレタンで、主剤として複数の水酸基を持つポリオールと、硬化剤としてポリイソシアネートを組み合わせた総称のことで、耐候性が求められる上塗りや1液湿気硬化型の下塗りや低温硬化型塗料としても用いられています。
2つ目はアクリルウレタン
2つ目はアクリルウレタンです。基本的に結合は一緒ですが、ウレタン塗料の中でもアクリルポリオールが主材となっているもので、現在では主流になってきております。硬化剤としては無黄変性である脂肪族系のポリイソシアネートが使用され、耐候性・塗膜性能・仕上がりに優れております。
ウレタンの特徴
メリット
・シリコンよりも安価である。
・弱溶剤(油性)2液型に関して言えばシリコンの1液よりも耐候性の高いものがある。
・弱溶剤(油性)2液型に関して言えば密着力が非常に高い。
・硬化剤を変えることで様々な用途に使える。
メーカーによってあるものないものはありますが、弾性にしたければ弾性硬化剤を入れるだけで弾性になります。
デメリット
・防汚機能があまり良くない。機能改善されたものもありますが一般的には汚れにはあまり強くないことが言えます。
・耐久年数が6~8年と短い。アクリル樹脂塗料と比べれば耐久年数は長いですが、現在では10年耐久が基本ベースとなってきているので、決して耐候年数が高い塗料とは言えなくなってきたため使用頻度も減少傾向にある。
・強溶剤・弱溶剤(油性)の硬化剤を入れる2液型タイプは、いくら熟練の職人でも目感で入れてしまうと硬化不良といって不具合を起こす原因となります。計量器で分量を計算して拡販するか、1缶作ってしまって1日で使い切るかしなければならないので職人目線でいうと面倒ではあります。料理も工事も同じで、ひと手間を惜しまないことが最良への近道です。
ウレタン塗料の施工単価(m2)はいくらくらいか?
弊社では指定がなければ使用しませんが、1,600円~1,800円/㎡程度になるかと思います。
耐薬品性に優れているため工場などで使用されることは多いです。
また、関西ペイントなどでは、上塗りの前に中塗りと称してウレタン樹脂塗料を指定しています。これは単にコストの軽減という観点だけではなく、密着力や隠蔽性が上塗りに使うものより優れているためと考えられます。
弊社でウレタン塗料を選ばれるお客様の割合
アクリル0%、ウレタン0%、シリコン30%、ラジカル制御20%、フッ素20%、無機塗料20%、断熱塗料ガイナ10%です。弊社では、弱溶剤2液のシリコンを一番よく使います。
こんな方にオススメする塗料です
5~7年くらい持ってもらえばいいというお客様や、数年後家を手放す可能性があり美観だけは保っておきたいというお客様にはおススメです。
代表的なウレタン塗料
ファインウレタンU100(日本ペイント)
単価:1,750円。
ウレタンといえばファインウレタンといっていいほど、下働き時代から使用頻度の高い塗料でした。艶もよく戸建てやゼネコンの現場で気に入って使っておりました。
ニッペ1液ファインウレタンU100(日本ペイント)
単価:1,650円。
1液性で職人の声から生まれた職人目線の使い勝手のいい塗料です。
セラMレタン(関西ペイント)
単価:1,750円。
2大巨頭の1つ関西ペイントが市場へ放つ渾身の2液型ウレタン。
ファインコートウレタン(菊水化学工業)
単価:1,700円。
昔、生協さんのお仕事で戸建てやアパートの塗り替えの際に、この塗料を指定材料として使っておりました。使用感は問題ありませんが、若干艶感が劣るイメージでした。あくまでも私見ですので、現在の艶とは無関係になります。
SPパワーウレタン(菊水化学工業)
単価:1,800円。
菊水さんは、近年ドイツの樹脂メーカーさんと業務提携をしたことでレベルが格段に上がってきています。SPシリーズやその他も格段に耐候性が増してきている注目のメーカーです。
クリーンマイルドウレタン(SK化研)
単価:1,650円。
若干シャブイ(濃度が薄い)感じがします。いい意味でいえば塗りやすい塗料と表現できますが、他メーカーの塗料を使ってばかりいて、このメーカーの塗料を扱うときは希釈のし過ぎに注意が必要です。
0~3%くらいで希釈していれば、塗膜を形成するのに必要な粘度は得られるかもしれませんが、希釈しすぎると薄膜になり不良施工の原因となりかねません。メーカーの悪口を言う方はそのメーカーの特性(癖)までしっかりと鑑みて施工していないケースが多かったりします。
ウレタン塗料に関するよくある質問
インターネットで色々と検索したお客様から届いたよくある質問です。ネット上にある知識には注意が必要です。
ウレタン塗料は、水分と相性が悪く湿度が高いときに塗布すると塗膜性能が落ちるのですか?
本当です。ウレタン樹脂塗料の中のポリオールは、硬化する際に過剰な湿気と反応してしまうと不具合を起こす危険性が高まります。
不具合が起こった際は場合によっては全面剥離、塗膜が形成されていればケレンを行い再塗装ということになります。
また、湿度85%以上の状況下ではほとんどの塗料は不具合を起こす確率が高くなりますので注意が必要です。
ウレタン塗料は、配合成分に強い毒性があるのですか?
本当です。ウレタン塗料の中には、ポリイソシアネートという毒性を含んだ成分が含有しております。
昼夜問わず影響を受ける場合と、化学物質過敏症患者には特に注意が必要とあるので、体に全く悪影響がないと言い切れない部分があります。
ウレタン塗料専用のシンナーを使用しなければいけないのですか?
間違ってます。強溶剤のウレタン塗料が、強溶剤のウレタンシンナーを溶剤で使用します。
しかし、弱溶剤ウレタン塗料は塗料用シンナー、水性ウレタンであれば溶剤が水ですので、専用シンナーを使う必要はありません。
ウレタン塗料は、柔らかく硬化した塗膜もヒビ割れしにくいのですか?
間違ってます。ウレタン塗料に限らずシリコンやアクリルにも弾性タイプが有ります。中には、硬化剤を変えるだけで弾性効果を得られるものもありますので、ウレタンだからヒビ割れに強いという表現は間違っています。
まとめ
ウレタン塗料は、アクリル塗料よりは耐久性は高いのですが、一般的に7年の耐久性しかありません。5~6年くらいでお家を手放す予定がある方などにはおススメですが、長持ちさせたい方にはおススメは出来ません。
また、ウレタン塗料は、硬化剤を変えるだけで弾性タイプに変えることが可能なものもあります。
ウレタン塗料の中にポリオールという成分が入っており、飛散させたり体に付着したまま放置すると有害物質なので、体に悪影響を及ぼす可能性があります。
普通に手塗りによって、付帯部など少量の塗装している分には、職方やお客様に問題が出ることはまずないと思います。
しかし、ウレタン塗料で外壁や屋根の吹付工事を毎日やっている現場周囲やそれに携わっている職方、化学物質過敏症の方には有害物質が飛散して悪影響を及ぼす可能性が考えられますし、なるべくなら大きな面積での使用頻度は控えた方がよいでしょう。